2011年04月04日(月)
【宇宙の友人達「バズ・アンドリュース物語」/第一章 まずUFOと遭遇(3)】
宇宙の友人達「バズ・アンドリュース物語」/第一章 まずUFOと遭遇(3)

この途方もない二人組みのせいで、私は本当に混乱してしまった。
だが心の奥底では、約束されたUF0とのコンタクトはともかくも実現に近づいているという気がしていた。この二人が、何らかの方法でコンタクトをもたらしてくれるはずだという予感もある。それに、このような悪ふざけみたいなことや心が乱されることも、みんな単なる煙幕ではないのかという気もする。
「全く同感ですな、兄弟。成るようにしか成らぬものです」
神父が真剣な調子で言った。

道路は平原を離れ、そのまま行くとメサ(周囲を崖で囲まれた岩石台地)に出た。アコマの家屋が初めて視野に入ってくる。巨大な砂岩の岩石層のうえに、空を背景にして劇的な姿を際立たせている。太陽は地平線に沈み、刻々と暗くなっていく。
ドン・ミゲルはスピードを落とした。周囲には日干し煉瓦造りの家屋が立ち並び、そこに住む人々の活動で騒々しい。神父は何も言わずに車から抜け出していった。

そこの小さな町を抜けると、『整備された未舗装道路』が続いている。くねくねと曲がるその道路を車で30分以上も揺れて行く。周囲には大きな石がごろごろと転がっており、植物はまばらにしか見えない。西部劇のロケにお誂え向きの風景だ。
出し抜けに小さな指示器の光がダッシュボードの下で光った。老人がボタンをいくつか押して、相手と簡単な言葉のやり取りをする。まったく理解できない言語だ。暗号めいたやり取りについて、老人は2分半後にランデブーだと呟いた。

ありがたいことに、やっと車が止まった。外に出ると、そこは渓谷入口近くの荒れ果てた小屋のそばだ。現地時間で午後9時45分。ますます暗くなってくる。ひとっこ一人いない平原には何も動くものがない。何も……。
だが、その静寂の中に、オレンジ色っぽい明るく輝く光が見える。空の高いところから、急速にこちらに向かってくるそれが、例の見憤れた空飛ぶ円盤の形となり、およそ15メートル離れた地点に着陸した。

私の目玉は驚きで飛び出さんばかりだ。物凄いスピードで物事が展開していく。速すぎて追いつけない。私は言葉で表せないほど驚いて、まったく沈黙したままそこに突っ立っていた。だがドン・ミゲルは違った。私の脇腹をつっ突きながら、誇らしげにこう言う。
「間抜けの老人にしては、上出来のランデブーのタイミングでしょう、え?さーてと、そんなとこにボサッと突っ立ってるんじゃないよ!あれに乗って、いろんな遠いところにこれから行くんだからね」
私は動かなかった。酷くショックを受けていることに気づいたドン・ミゲルは、酒瓶を差し出し、一口飲めという。促されるままに、一口、流し込む。スコッチだ。
「効果てきめんの薬だよ」
と言いながら、安心させるようにニヤッと笑いかけてくる。
そして、私の背中をドンと叩いてこう言った。
「さあ、乗った、乗った。旅行に出発だ。うまくやんなよ!あんたの車は大丈夫だ。帰ってくるときには、ここであんたをお出迎えしているから。私と一緒にな」

 * * *

円盤の直径は約7.6メートル。非常に軽い金属質の色でファイバーグラスの感触だ。タラップを上がり中に入る。と、背後でドアが自然に閉まり離陸した。突然、遅まきながらパニックに襲われた。
何てとんでもない窮地に飛び込んでしまったんだ?!そう思っているうちに今度はパニック状態が消え、胸がわくわくするような冒険にすっかり魅了されてしまった。それは、円盤の底の円窓を通して、地面が凄い勢いで下に遠ざかっていくのが見えたからだ。私を乗せた円盤は、円弧状に上昇してから水平飛行に移り、高速で飛び去って行く。

円盤には私の他は誰も乗っていない。ロボット円盤の類なのだろう。ビーチボールの大きさの球体が、円盤中央部の目の高さの位置に浮かんでいる。ロボット操縦用のようだ。球体内部では多色光が凄い速さで点滅している。まるで、作動中の巨大頭脳の感じだ。大きく見えるように近づいて覗き込むと、位置と方向を示すパターンの変化の読み方も分かった。
示されている予定進路によると、太平洋を横断して極東地域に向かっている。西に向かって高速度で飛行しているので、日没の逆転が目撃できた。徐々に、太陽に追いつき、ついには追い越してしまった。腕時計は、円盤に乗り込んだ時点で機能を果たさなくなってしまっているが、感じから言うと、飛行速度は毎時4800キロを越えている。

現地時間の正午頃、東南アジアに到着。高度およそ3000メートルで、カンボジアの沖合にいるアメリカ海軍の戦闘艦艦隊の上空を通過。海軍は円盤が近づいているのを大分前に探知していたに違いない。戦闘艦も艦載機も、いろんな種類のロケット弾を円盤めがけて発射してきた。こちらが視野に入るか入らないかの段階でだ。円盤は、驚くほど簡単にロケット弾をかわし続ける。何らかの防御用の『フォース・フィールド(力の場)』が円盤の周囲に巡らされているのが分かった。円盤に被害が及ばない10メートル位離れたところで、ミサイルが爆発したからだ。スリルを感じると同時に、大いに感心もした。

戦いに敗れた艦隊が遅れをとるなか、円盤は鋭く方向を変え、次の目的地に向かった。例の球体の『地図表示』によると、向かっているのはチベット内部の地点、首都ラサの近くだ。(この大体の場所が分かったのはずっと後のことだ。)間もなく、ヒマラヤ山脈の雪に覆われた峰々の上空を飛行して、不毛の山腹の岩棚に着陸。真っ昼間である。

円盤のドアが開き、冷たい空気が入り込む。荒涼とした風景のど真ん中に一群の僧が現れ、私の体を毛皮で包み、近くの地下僧院へと連れていく。この僧達は、沈黙の誓いをしているに違いない。ずっと誰も話しかけてこない。
どうも全てが前もって仕組まれている感じがする。先に偶然を装ったように軍艦と『出くわした』のとまったく同じだ。外から見たらまったく分からないほど、うまく隠されている僧院の中に入ると、いろいろな部屋に連れていかれ、そこで聖なる『高僧達』の綿密な吟味を受けた。それから、読経をしている一群の僧達の前に座らされる。香の煙のたちこめる寺院の中だ。そこで私は知らぬ間に、奇妙な深い眠りに落ちていった。

その魔法が奇跡を起こした。体が非常に軽くなり、頭も冴え、ずいぶんと若返った感じになったのだ。全てが終わると、私を待っている円盤へと送り返された。僧が一人ほんの暫くの間円盤に乗り、宇宙用装具を身につけるように、と動作で示す。ブーツとベルトとヘルメットだ。僧の指示に従って装具を身につけると、すでに高揚している生体機能がただちに高まるのが感じられる。
僧が立ち去ると、円盤は夕日の光りの中へと飛び立っていった。物凄いスピードで『近くの』モンゴルのゴビ砂漢へ飛行していく。そこで大変恐ろしいことが起きた。砂漢の黄昏の遥か上空で、私を乗せた円盤が火のような霞からなる地獄のような渦巻きの中に吸い込まれていったのだ。

それから数分して投げ出されたところは、惑星地球から何千キロも離れた深宇宙の中だった。(後で分かったのだが、円盤はゴビ砂漠の『シャンバラ』の移行窓をわざと使い、素早く深宇宙へと移動したのだ。)近くには大きな円盤型母船がいる。その母船に、非常に奇妙な方法で乗船した。私を乗せた円盤はすっかりといっていいほど非物質化してから、母船の胴体を通過したのだ。
母船内の七つの円盤駐機区画の一つに入ると、今度は物質化して以前の状態に完全に戻った。円盤を出て、次から次へと続くドアを通って歩いていくと、六角形の部屋に出た。周囲の壁は斜めになっていて窓が一つ付いている。そこから素晴らしい光景が見える。明らかに、この旅行の間ここが私の居住区になるのだ。

それから間もなくすると、母船は次元間移動を行った。私の次元から徐々に消えて行き、別の次元に入った。そこは驚くほどきれいにはっきりと見える星群で一杯の次元だ。そこから、私の地球時間では約『3日間』の、未知の宇宙への旅に出発したのである。

 * * *

私は部屋を調べ、隣接している『サンルーム』式の石庭を探索した。中央部の巨大なドームの下だ。時間を費やすのに頭脳ゲームをしたり、テレパシーで円盤と意思の疎通を図ろうとしてみたりしたが、後者は無駄だった。母船を操縦する中枢知能からは何の応答もないし、さらに、私の目に見えないところに隠れて乗船していると思われる他の6人の乗客からも同様に何の反応もない。もちろん、見る度に惹きつけられたり驚嘆したりする宇宙の光景がそこにはあるのだが、少し身体を動かしたり、仲間がいたりしたらいいなと思った。
この円盤輸送機に乗っている間の唯一の仲間は、夢の中に現れた。三夜とも、同じ激しい性的な幻想を体験したのだ。相手はいつも同じ官能的なブルーネットの美人で、場所はハワイのある島だ。薄気味悪いことに、余りにも『はっきりとしている』ので、単なる夢とは思えない。

旅の終わり近くになって、猛烈な電気嵐に出会った。それを通過すると目的地だった。惑星が見え、その背後から二つの太陽が昇ってくる。それに、信じられないほど巨大な宇宙船が近くに浮かんでいる。部屋と円盤駐機区画との間のドアが開く。円盤に乗るときが来たのだ。
到着したときと同じ過程を経て、母船を離れる。母船の胴体を半非物質化状態で通り抜け、外に出るとまた物質化する。そして、巨大な宇宙船に向かって飛行していく……。
倦謫章 宇宙船







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