2011年04月04日(月)
【宇宙の友人達「バズ・アンドリュース物語」/第一章 まずUFOと遭遇(2)】
宇宙の友人達「バズ・アンドリュース物語」/第一章 まずUFOと遭遇(2)

それから1か月してニューヨークに戻った。
グリニッジ・ヴィレッジでのいつもの決まりきった仕事と、一緒にいると寛いだ気分になれる友人達のところへだ。グリニッジ・ヴィレッジは長い冬眠からやっと覚め、活気を取り戻し始めていた。
フロリダでUF0に遭遇したことは誰にも言わなかったが、その記憶は新鮮で、それに突き動かされるように、読書や講演を通してUFO現象についてできるだけ知ろうとした。UFOに関する本なら、それこそ全部といっていいほど買い込んだが、読めば読むほど、もっと知りたくなった。単なる目撃の事例研究よりも、もっと確定的なものが欲しかった。
事例研究以外の本もあった。幻覚であるとか、太陽面爆発(フレア)であるとか、沼地が発生するガスのせいであるとかと説明して、UFO現象を認めず、そんなもの信用できないとする説もある。UFO現象を言葉巧みに一蹴するのに特に熱心なのが軍部だが、私には軍部が本当のところをまだ掴んでいないとは到底信じられなかった。

UFOの本を私と同じようにあちこち拾い読みをしている男と、長い時間大変興味を引かれる話をしたことがあった。
その男はUFO伝説については文字通りの博学で、それまでに私が読んだ書物をすべて合わせても余りあることをたくさん話してくれた。UFOの組織化された研究に参加するようにと誘われたが、私は違ったものを追いかけているのだ、自分で直接経験してみたいのだと言って断った。
自分がかつて遭遇した経験を暗に示すような言葉を使ってもみた。すると彼は、UFOに関する講演会に行ってみてはどうか、そうしたらUFOのことを本当に知っている人に出会うかもしれないし、宇宙の異星人とも、ひょっとしたら接触できるかもしれない、と言う。そして、ニューヨーク大学の公開講座に出席するのが一番良いだろう、とつけ加えて言う。
別れる前に、名前を教えてくれた。今は住所も電話番号も思い出せないが、彼と出会った後すぐに連絡を取ろうとして、住所も電話番号もでたらめであることが分かった。

5月下旬、近くのニューヨーク大学校舎で、UFOとその関連現象について講演があることを知った。聞きに行きたいとの気持ちが余りにも強かったので、大いに脈があるダブルデートをキャンセルして、聞きに行ってしまう。校舎に近づくと、願っていたコンタクトに絶対会えるとの確信が突然に湧いてきた。講演開始時刻の15分前に着いたので、集まり始めたそれほど多くない聴衆の顔をじっくりと観察する機会が得られた。

典型的なグリニッジ・ヴィレッジの住民達や、雑多なニューヨーカーの中から『彼』を選び出すのは簡単だった。彼は背が高く、年齢は30代と思える。髪の毛はブロンドで射るような青い目をしており、レジャースーツを着て、大変奇妙なお守りを身につけ、今までに誰からも感じたことのないような不思議な魅力を醸し出していた。
彼に真っ直ぐに向かってつかつかっと歩み寄っていき、こう言った。
「来ましたよ。例の答を聞きにね。少しお話をしませんか?」
「いいでしょう」
良く響く声で応えが返ってきた。
「良く来てくれましたね。近くのコーヒーショップにでも入りましょう」
ブリーカー通りとマクドゥーガル通りの交差点近くの余り混んでいないコーヒーショップに入り、おいしいイタリア産のレッドワインを少し飲む。

彼の名前はクエンティンといい、「外」何とかという科目の教授で、研究休暇中とのことだった。
彼は、私達の奇妙な出会い方を何とか言い繕うとした。私の方は表面的には気にしなかった。だが、心の奥底では彼の言い訳なぞ信用していない。『何気なしに出会った』どころではなかったのだから。
彼の話では、私が見た円盤は地球とは違う次元のもので、母船を使い、『バミューダ三角海域』のようないわゆる『窓の領域(※スターゲート)』を通って地球に来たのだという。円盤は意のままに物質化・非物質化できるという。
円盤の飛来にはいろいろな理由があるが、背後にいる宇宙人は、地球人の中から仲介者に適したものを『探し』に来ている場合もあり、それは、やがて起こる大規模なコンタクトに向けて、一般大衆を準備させる手助けをさせるためであるという。

クエンティンは30分近くも驚くほど細かい説明をしてくれたが、その情報の入手先については言葉を濁し続ける。今度は、私が本当の直接体験をできるのはいつかと尋ねてみた。すると、彼は銀色っぼい手帳をちらっと見てからこう言う。
「一番良いチャンスがあるのは今年の8月初旬でしょうかね」
「でも、どこで、どうやって?8月までにはどこに行ってるか分かりませんよ。西海岸に行ってるかもしれませんしね」
「どこにいようとも、コンタクトしてきますから安心して下さい。時機が来ればコンタクトはいつもあります」
彼の言葉には申し分のない響きがある。だがその瞬間、私は急に用を足したくなった。彼にそこに居るようにと頼んでから近くのトイレに急いで行く。戻ってみると彼は姿を消していた。テーブルの上には、ワインの代金として10ドル札が1枚置いてあった。

 * * *

7月末までに西海岸に行く計画を立てていた。
だが、何やかやの理由で苛々するほど遅れてしまい、何とか8月2日までにはニューメキシコに辿り着いたのだが、目的地までにはまだ大分距離があった。急いでカリフォルニアに行って運命との出会いを逃さないようにしなければ、という衝動を感じていた。
クエンティンが喋っていた、これからやって来るUFOとのコンタクトを強く信じるようになっていたからだ。最近では、この奇妙な考えにかなり取り懸かれていたのだ。

8月2日の午後遅い時間になる頃には、もうアルバカーキは過ぎていた。
アルバカーキの西およそ60キロ、ラグナを過ぎたばかりのところで車のエンジンが止まってしまった。それも交通量の多い州間ハイウェイのど真ん中でだ。路肩の安全な場所に何とか車を転がして、ボンネットを開けてみると、高圧コイルが焼け焦げて駄目になっていた。

古い小型トラックが1台私の背後で止まり、男が二人降り、どうしたのかと見に来た。一人は髭を生やした若いカトリックの神父で、射るような緑色の目をしている。そのせいで神父というよりも海賊のようだ。もう一人は年老いたネイティブ・アメリカンだ。嬉しそうに、にやにやしながら分かりきったことを口にした。
「コイルが駄目になってる。全然駄目だね」
「悪魔のように厄介なことですな」
と髭神父が目を上げながら信心深げに言う。
「自動車工場はどこも週末は休みなんですよ。でも私の友人、ドン・ミゲルという名前ですが、彼なら直せますよ」
この老人が技術的なことを知っているのかという疑念がこちらの顔に現れたのに気がついて、神父がこう付け加えた。
「彼は電気や機械関係のものなら何でも直してしまうんです。趣味でやってるんですがね。プエブロ族には才能があるんです。ここから遠くないところにあるラグナ居留地の周辺に、デジタル製品工場も持ってるくらいですからね」
神父は、二人の目的地である別の居留地内の近くの場所まで乗せていってくれるという。
コイルのスペアーを持っている人が見つかるといいがと思いながら、その申し出をありがたく受けることにした。前部座席に二人に挟まれて座った。
驚いたことに、トラック自体はおんぼろでくたびれてはいるが、運転席は、電子装置がそこら中にたくさん詰め込まれていて、まるで飛行機のコクピットみたいだ。例のネイティブが運転したが、たまげるほどの猛スピードを出す。時折、私のほうを横目で見ながら、変な言葉で何か言ってはクスクスと笑う。
「私のどこがそんなにおかしいんですか?」
「野生の馬みたいだと言ってるんですよ」
神父がばか笑いしながら答える。
響きわたるような神父の声は、はっきりとは思い出せないが微かに聞き覚えがあるようだ。以前どこかで聞いた声だ。
「それも、とびっきりの野生かな」
今度は老人が英語で言う。神父が手掛かりをくれた。
「彼には貴方の未来の行動が見えるんですよ。ドン・ミゲルは預言者でしてね。職業は医者ですが」
州間ハイウェイ40号線を降り、ハイウェイ23号線に乗る。南下する間道だ。標識が見えた。『アコマ・プエブロとミッションまで21キロ』と読める。今や飛んでいるようなスピードだ。老人は乾燥した平原の中の細い道を物凄い勢いで車を走らせていく。
「このスピードだと、行き先は天国になってしまうかもしれませんよ!」
私は不安になってブツブツ言った。
「それは貴方だけですよ」
神父が気を動転させるような悪魔みたいに、二タッと一瞬笑ってこう言う。
「私は『空中都市』で降ります。ネイティブはアコマをそういう凝った名前で呼んでるんです。ドン・ミゲルはもっと遠くまで貴方を連れていってくれますから、信頼してやりなさい。いろんなところに連れていってくれますよ」
「ケセラ、セラだな」
私は諦めて溜め息をついた。このスペイン語の表現がこの場にはぴったりだ。
倦アく







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