2011年04月04日(月)
【宇宙の友人達「バズ・アンドリュース物語」/第一章 まずUFOと遭遇(1)】
宇宙の友人達「バズ・アンドリュース物語」/第一章 まずUFOと遭遇(1)

■第一章 まずUFOと遭遇

1975年1月1日、私はニューハンプシャー州ホワイト山脈国有林を突っ切って、ボストンの自宅に向かって車を走らせていた。ティカムサ山のスキー場近くにあるスキー小屋を出たのは午後11時を少し回っていた。
スキー小屋は友人の友人の両親のものだが、両親は不在で、そこで大晦日のパーティーを開き、どんちゃん騒ぎをして元日を迎えたのだ。車を運転しているうちに、二日酔いがやっと醒め始めた。おそらく、断り切れずに飲んだ2杯目の『最後の1杯』の精だろう。小屋に残った者達は、最後の一滴を飲み厚くすまでそこにいるつもりだった。

滑りやすいハイウエイ49号線を、ボストン方面行きの主要道路に向かって走る。そのうちに、奇妙なオレンジ色の光がひとつ空中を不規則に舞っているのに気がついた。
注意を道路に向けたり、光に向けたりしているうちに、曲がる場所を間違えてしまい、南下するハイウエイ175号線に乗ってしまった。すぐに方向転換をせずに、このまま行けばどこかで州間道路に入れるだろうと思い、そのまま走ることにする。

キャンプトン・アッパー村の南、数キロの地点で、例の不思議な光は大きくなり、ハイウエイのすぐ上まで降下してきた。およそ200メートル前方だ。不思議な光は明るく輝く円盤だった。横から見ると端から端までおよそ九メートルある。雪に覆われた地面近くに浮かんでいるので、道路を塞いでいるのも同然だ。これが一部の人がいう『空飛ぶ円盤』だと思った。
危機一髪というような状況を避けたかったので、道路端に車を止めた。明らかに円盤は私を待っている。一体何の用だろうか?と、突然、まさにこの地域で10年以上も前に起こった突拍子もない事件を思い出した。
ある夫婦がUFOに誘拐され、UFO乗組員に調べられてから釈放されたというのだ(著者註:『バー二ー&ベティ・ヒル夫妻誘拐事件』)。だが、私にはそんな馬鹿げたことにつきあう気はさらさらなかった。

座席の下からタイヤ交換用のレンチを掘み、助手席のドアを開け転がり出て、積っている雪の中に飛び込んだ。凍った雪面で顔が切れるのを感じ、怒り狂った私は、さっと立ち上がって円盤に向かって叫んだ。
「捕まえられるもんなら捕まえてみろ!」
何も起こらない。UFOは沈黙したまま同じところに浮かんで、暖かなオレンジ色の光を長閑な雪景色に注いでいる。そのうち、その光は催眠状態を引き起こすような脈動を始めた。あたかも私の否定的な考えを静めようとするかのようだ。と同時に、自分の心が探られ、調べられているような気もする。

白状すると、こちらも好奇心が涌いてきた。何のかのいっても、元旦ならいつでもUFOが見られるというものでもない。幻覚は見えるとしても、オレンジ色の空飛ぶ円盤は無理だ。
しかし、いかに好奇心がつのっている私であっても、人の心にずかずかと踏み込んでくる行為は頭に来る。そこで、怒った振りをして、円盤に向かって力一杯「ワッ」と叫んで、呪縛を断ち切ってやった。すると、円盤は脈動を止め、急上昇を始めた。そして、私に向かって二度点滅を繰り返した。私はそれに応えて、相手を宥めるように、
「新年おめでとう、このど阿呆!」
と、叫んでやった。円盤は飛び去り、曇り空の夜の帳の中に消えていった。
だが、この出来事で私は狼狽してしまったようだ。何の目的もないメロドラマチックな行動をとったことで混乱し、なんて馬鹿げたことをしたんだと思い、恥ずかしい感じもしたからだ。しかし、そんなこと心配しても仕方がない。どうせ、あの『円盤乗組員』に良い印象を与えなかったのだろうから。

 * * *

数週間もしないうちに、あの遭遇事件はすっかりといっていい程忘れてしまっていた。それに、あんな奇妙な経験を誰にも話す気にはならなかった。
やがてボストンを離れて『もっと緑の濃い牧草地』(と思えた)ニューヨーク市に行ったのだが、そこの寒々としたぬかるみだらけの冬に落ち着かなくなり、2月下旬になるとフロリダに移り住むことにした。

マイアミビーチでは良い部屋と、職業斡旋業者を通じて臨時雇いのウェイターの口が見つかった。大した生活ではないが、テンポの変化と今までとは違った日常生活、それに温暖な気候が楽しめた。時には、斡旋業者のはからいで、大金持ちの自宅で開かれる私的なパーティーにウエイターとして出張することもあった。

春になった最初の日、3月21日には、メキシコ湾岸のナポリのすぐ南のある家のパーティーで働いていた。
仕事を片付けてからマイアミビーチに向かう道路に入ったのは午前3時近かった。ちょっと涼しかったが快適な夜で、霧のかかったエヴァーグレイズの間を通るハイウエイ41号線を東に向かって走っていく。所々雲がかかった夜空に、星はほんの幾つかしか見えない。
そのうち、非常に明るい星に気がついた。奇妙なオレンジ色のオーラが周りに見える。それが地上に向かって落下し始めた。ところが、急に空中で止まってしまった。あっと思った。UFOだ!

今回は、興奮する気持ちを抑えようとした。物体を問近で見れたらいいな、と思ったのだ。
「近くに来い!もっと近づけ!」
私の声が聞こえるかのようにオレンジ色の光に向かって叫ぷ。
すると、不思議なことに、円盤は応えてくれた。高度を下げ、ハイウエイを横切って、私の頭上を飛行していったのだ。ドーナツ型の紛れもない円盤だ。ちょうどその時、車のエンジンが止まり、ヘッドライトも消えてしまった。急に真っ暗になったので、ピクニック場の斜め駐車区域で道路脇に車を寄せようとして、もう少しで道路の外に出してしまうところだった。(後で分かったのだが、ここはオチヨピーの東16キロ、モンロー駅の西およそ5キロの地点であった。)

「降りてこい、この間抜け!」
飛んでいく円盤に向かって叫んだ。円盤のオレンジ色の輝きが不気味に明滅するのが沼地の茂みを通して見える。私の気持ちが通じたのか、光の変化がやっと静かになった。
懐中電灯を掴み、車から飛び出す。調べてやろう、という意欲十分だった。円盤の場所は道路から30メートル位のところに違いないと思い、ピクニック場に通じる遊歩道を歩き始める。だが、余り進まないうちに、オートバイみたいなものにまたがった黒い影に進路を邪魔されてしまった。懐中電灯が消えてしまい、私は悪態をついた。すると、
「何をそんなに騒いでいるんですか?」
と、太く低い声が鳴り響いてきた。黒い影からだ。
「その答も誰かが出してくれりゃありがたいんだがね!」
私はその男に向かって喚いた。
「そういう意地悪をされるのは今年になって二度目だ!見てみろ、車のエンジンも止まってしまったぞ!円盤の中にいる奴等に話がある!奴等は、俺に何の用事があるってんだ?!」
「叫んでも、力んでみても何の役にも立ちませんよ」
「まさか、俺が叫んだんで奴等が墜落したなんて言うんじゃないだろうな」
「そうじゃありませんが、貴方のその癇癪玉は、まったく役に立たないマイナスのエネルギーの干渉ですよ。それに、貴方の喚き声で遠くの鰐までも起き出してしまいます」
「よし分かった。静かにしよう。だから通してくれ」
実際、気持ちはずっと落ち着いていた。暗闇の中で怖いほど出し抜けに黒い影に出会ったというのに、緊張感がさーっと消えて、その速さには自分自身も驚いたくらいだ。
「戻ったほうが良いと思いますよ。本当に」
闖入者が言う。
「君子危うきに近寄らず、とこの地の諺にもあるでしょう」
「というと、おまえはこの地の者ではないというのか?」
「ええ。住んでるところはもう少し遠くです」
「その『少し遠く』というのは、どのくらい遠いんだ?」
その男をじっくりと見ながら言ってやった。
「とにかく、質問に答えてくれ」
「まあ、そんなに慌てないで下さい。やがて答が出ますから」
「今すぐ出ないとしたら、いつだ?」
私は食い下がった。だが、好奇心は急に冷めていく。それどころか、関心が無くなってしまい、危うく眠り込んでしまうほどだ。頭を振って眠気を醒ませたが、急に眠くなったのは黒い影が胸につけている『お守り』の輝きと何か関連しているのだろうか。

答が返って来たのは、永遠とも思える時間が経ってからだった。
「コンタクトは間もなくあります。お約束します」
「いいだろう」
自分でもびっくりしたが、黒い影の暖昧な約束を受け入れてもいいという気がした。だが、何かおかしい。心が操作されているような気がする。
「そんなこと、どうしておまえに分かるんだ?!一体何者なんだおまえは?!」
私は大きな声で詰め寄った。
「私は、これでも、レンジャーなんです。いろいろなことを知っているのが仕事ですから。もうよろしいでしょう・・・」

ことを荒だてずにこの場を去って欲しがっているのが分かった。そこで、黒い影の言うことに従った。私の気性からすればこんなことありえないのだが、その時は、どうみても従うしか他に理にかなった道はないように思えた。それで、その場を離れたのだ。
ハイウェイの道路端から振り返ってみると、あの不思議な男の姿はもう見えない。車のエンジンをかけてみると難なくかかり、私は走りだした。だがどうも騙されたような感じで、落ち着かない気分を払拭できなかった。
倦アく







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